当院のリハビリテーション科では、一般外傷や腰痛、変形性膝関節症、肩関節周囲炎(五十肩)といった一般整形疾患のみでなく、 膝前十字靱帯損傷や投球障害肩などのスポーツ傷害まで幅広く理学療法を提供しています。 また、人工関節(股関節、膝関節)や関節鏡の手術(膝前十字靱帯再建術、肩腱板縫合術など)を当院で行っており、
幅広く術後理学療法にも対応しています。
理学療法においては、運動器疾患には欠かせない超音波画像診断装置(エコー)を用いて、機能解剖学に基づいた治療を 展開し質の高い理学療法を提供する事で、一日でも早く身体機能や日常生活機能の改善をできるように心掛けて います。
当院における運動器リハビリテーションの特色
機能解剖学に基づく理学療法
当院では機能解剖に基づいた診断および治療を心がけています。機能解剖とは、からだの動きや姿勢を仮定した解剖学のことで、からだの部位に存在する骨や靭帯、筋肉などの解剖学的構成体が、からだの動きによってどのように動くのか解剖学と運動学が合わさった考え方です。
例えば膝関節疾患の代表例として「変形性膝関節症」が挙げられますが、膝の内側に痛みがある方もいれば、膝の裏側が痛い方、膝蓋骨の下側に痛みがある方など人によって異なる場合があります。同じ診断名でも痛みの場所が異なるということは、痛みの原因となっている解剖学的組織も 異なることが考えられ、治療方針も異なってきます。
また、問診により得られる情報が大事であると考えており、どこの部位が(=解剖学的組織の推測)、どのような時に(=その組織に加わる負荷を推察)痛いのか詳細に聴取することによって痛みの原因組織を特定することを心がけています。
必要に応じてリハビリテーション室でも超音波画像診断装置を用いて、組織の状態を評価・確認しています。痛みの原因および原因組織を可能な限り早期に特定することで、状態に応じた最適な治療を提供することが可能となり、結果として最短で痛みを取り除くことができると考えています。
超音波画像診断装置(エコー)を用いて病態を的確に把握
これまでの運動器リハビリテーションは、視診や触診、経験則などに頼ったものが多いのが現状でした。近年では超音波画像診断装置(エコー)を用いたリハビリテーションへの活用が増えてきています。
当院では経験豊富な理学療法士がエコーを駆使し、これまでのリハビリテーションでは見極めきれなかったような、 より詳細な病態把握が可能となりました。
エコーでは、外傷後の骨や筋腱、靱帯など組織の損傷程度や修復状況の確認や関節可動域制限に対する原因組織の鑑別などに有用です。また、レントゲンや MRI と大きく異なる点として、簡便かつリアルタイムに動的な評価ができることです。エコーの画面を通して患者さんへの説明にも使用できることから、患者さん の 満足度も非常に高くなっています。当院はエコー所見をもとに医師と密に情報共有が行えることも、患者さんにとっては良好な経過を経ていくために重要な点と考えており、積極的にリハビリテーションへ応用し治療の効率化に努めています。
個々の機能障害を考慮したインソール作成
足部の機能障害は足部や足関節のみならず、膝や股関節など様々な関節への影響が報告されています。
扁平足や外反母趾などにおける不良な足の地面への着き方を修正する事で疼痛軽減やパフォーマンス向上が望めます。
当院ではリハビリの一環として、理学療法士が必要に応じインソールの作製を行なっています。理学療法における詳細な病態把握をもとに、一人ひとりにあった「完全オーダーメイド」のものを作成し、疼痛の軽減を図ります。
様々な用途に応じたトレーニング機器
当院では、組織の治癒促進・身体機能の改善・競技復帰に向けたパフォーマンス向上を速やかに得るために、酸素ルーム、Power Plate®や Kinesis®などの豊富なトレーニング機器を活用し治療を行っています。
学術報告(2019.05~)
2019.7.6
The 1st Annual Congress Asia society of Hip Arthroscopy & Preservation (ASHA) 『Physiotherapy for conservative treatment』(保存的治療における理学療法)
2019.9.7
第 15 回日本股関節鏡研究会 『理学療法と股関節鏡』
2020.4.4-5
The 2nd Annual Congress of Asia society of Hip Arthroscopy & Preservation (ASHA) 『Postoperative Athletic Rehabilitation』(鏡視下股関節術後のリハビリテーション)
2021.5.22-23
第24回静岡県理学療法士学会 一般演題
「上腕骨通顆上骨折術後に生じた肘屈曲可動域制限に対する一考察」
「膝伸展可動域の改善に苦慮したTKA術後の一症例」
「肩甲下筋単独損傷後、肩関節拘縮を呈した病例に対する治療経験」
2022.6.25-26
第25回静岡県理学療法士学会 一般演題
「新鮮肘RCL損傷に対し人体修復術を施行した病例の理学療法経験」
「大腿骨骨幹部骨折術後6週で正座の獲得に至った一症例」
「腓骨筋深層の脂肪・結合組織の拘縮により正座時に外果後方部痛を呈した一症例」
2022.9.3
第17回日本股関節鏡研究会
パネルディスカッション 〜FAIと股関節鏡―メディカルスタッフの立場から〜
「FAISに対する体幹訓練の影響について」